パテントハンター   vol.1 ジッパー

月刊カートン・ボックス誌(日報ビジネス株式会社)の6月号より「パテントハンター」(権利切れ包装形態を発掘し新たなビジネス価値を創造する)という表題の記事を連載しています。

この特許公報データベースを利用して寄稿していますが、このHPにも同じ内容で毎月連載したいと思います。第1回目は、紙器・段ボールに共通する切取ジッパーについてです。

市場でよく見かける形態は、カギ型やY字ジッパーが殆どではありますが、昔から様々な形態が開発されてきました。開封機能はパッケージに求められる基本機能ですが、寸法や材質により適正な切れ具合を決めなければなりません。例えば、板紙のアイボリーや段ボールのK7などの固い材質はより切れ易い形態を選択しなければなりません。又、紙器の場合、個箱・中箱を段ボールで梱包しますが、流通過程でかかる負荷も設計の条件に入れなければなりません。

ジッパーは、①切れ易く、且つ、輸送強度を保持、②左右両方向から切れる、③破断跡が手指に引掛かりにくい等の目的で形態開発されてきました。

 現在、日本で使用されているY字型は1959年にアメリカで登録されている。

斜めジッパーで形態は一般的なカギ型だが、上下の方向と配列で工夫している。

かぎ型に補助刃を設け、紙目に垂直に設計して紙剥けを防止する。

切刃端部にアールを設け、破断後に切口が丸みを帯びて手が痛くない構造となる。

台形型ジッパーで、引裂き方向とジッパーラインが一致しなくても良好に切断できる。

両方向から切取が可能。台形の主切取線の外側に補助切取線を設ける。

20年未経過で、現在、特許継続中等の図面は掲載できませんが、各社の傾向を紹介します。

・大日本印刷㈱ 特許5633798号 図5の応用で上下をずらしながら幅が狭くても切れにくい形態

・大日本印刷㈱ 特許4531506号 図6の応用形で両方向切取形態

・凸版印刷㈱ 特許6064451号 両端がY字となっている切刃を配置し両方向から切取できる形態

・クラウン・パッケージ㈱ 特許6282996号 へ字型ジッパー形態

・㈱トーモク 特許6411241号 図3に類似した補助切刃を設けた形態

特許公報データベースは、今年の12月末まで無料公開しています。今回掲載している図面は、サムネイル一覧で、その他の公報合わせて閲覧できますので、是非、ご覧ください。