第2回目は段ボールの基本形態で最も多く使用されているA式ケースの封緘テープを容易に開封する為の技術です。
封緘テープは、クラフトテープやOPPテープが多く使用されています。ともに粘着力が強く、段ボールが封緘されると開封時にテープ端部を容易に剥がすことはできません。開封する為にカッターナイフを使用する場合がありますが、この際に内容物をナイフ刃で損傷してしまう危険性があります。
又、カートンシーラー(封緘機)の中には、テープ端部の粘着面同士を接着させて指で摘まめるようにできるタイプもありますが、市場ではあまり見受けません。
昔から容易にテープを剥がす為の技術が多く開発されてきましたが、側面のテープ接着された端部に合わせて、ケースに切込を入れる形態が主流と言えます。
【形態種別】 ①側面テープ端面切込、②側面テープ端面切込+中芯潰し加工、③天フラップ切込(中央部・端部)、④側面+内フラップ切込、⑤側面+天フラップ切込、⑥テープ粘着弱める印刷塗工 その他
図1 実公昭46-20794 出願1968/2/22
テープ接着部に油性インキでベタ印刷を施し粘着力を弱め、ケースの損傷を防止する。
図2 実用新案1947765号 出願1988/7/26
側面に設けた2本の切目線の間の中芯を押潰して凹所隙間を形成しテープを摘まむ。
図3 実全平2-63323 出願1988/10/27
押込み部8と摘み部6を設け、指をケース内に入れてテープ端部を摘まむ。
図4 実用新案2010754号 出願1989/3/10
摘み部5と共に引剝がされた表層ライナーは角部の切目線10で切断され突っかかる事なくスムーズに開封ができる。
図5 実開平07-019123 出願1993/9/14
斜め折曲線9を本体内に折曲げて指掛け凹所を形成し、摘み片6でテープを剥がす。 角部切目線10で内フラップ損傷を防止。
図6 実用新案3057683号 出願1998/9/11
テープ剥離用つまみ片5は手掛け穴として取っ手機能を併せ持つ。
図7 特許第3200040号 出願1999/2/16
天面片側中央部に指穴と開封フラップ部を設け、容易に開封し再利用も可能。
図8 特開2003-327235 出願2002/5/10
側面及び内フラップに切目線を入れ、指入部10と摘み部11を組合わせてロック片13を形成し、開封後は天フラップを外折保持。
現在、特許継続中の図面は掲載できませんが、各社の傾向を紹介します
①㈱トーモク 特許第4693511号 天面の内フラップ上位置にテープの幅方向切断用ナイフ切込み案内線を設ける。
②㈱トーモク 特許第5393631号 外フラップ角隅部に粘着テープが非貼着となる切欠部と摘み片を設ける。
③㈱トーモク 特許第5567609号 内フラップに設けたU字舌片を外側に逆折しテープと共に接着する。
④レンゴー㈱ 特許第5969321号 外フラップの突合縁端部を押すと押開片が外側へ突出しテープ端部が浮上がる。
⑤レンゴー㈱ 特許第6912352号 側面テープ接着部にシリコーン系離型剤を印刷して剥離部と非剥離部を設ける。
次回は紙器の曲面サック箱を紹介します。